社会保険 税金

新入社員に送る 給与明細書控除欄の見方

今年の4月から働き始めた新入社員の方はそろそろ給与が支給されると思います。しかし、みなさんの給与からはいろいろなものが引かれてしまうのです残念です、お察しいたします。

でも、会社ではなんでそういったお金が引かれるのかはあまり教えてくれません。だいたい「自分で調べろ」とか「そういう風に決まっているから」としか答えてくれません。

そこで今回はそんな給与から引かれるお金のことをざっくりと教えます。あくまでざっくりなので、きちんと知りたい人は自分で調べてください。(←結局それか!)

給与からは社会保険料と税金が引かれている

法律で、会社は社員の給与から勝手にお金を引いてはいけないことになっています。ただし、社食代金とか、購買代金とか、同意があればOKです。

で、勝手に引かれているものがあればそれは社会保険料税金です。社会保険料と税金は引いていいことになっています。

給与からお金を引くことを控除といいます。天引きとも言います。

給与から控除される項目はだいたい決まっていますが、以下の5つは会社に勤めていると必ず控除されます。

健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・住民税・所得税

尚、この5つ以外にも企業年金など会社独自の控除がある場合もありますが、その詳細は会社の人に聞いてください。

また、以下の内容は会社によっては当てはまらない場合もあるかもしれません。あくまでもざっくりです。

健康保険料

健康保険料は最初の1ヶ月は控除されません。2ヶ月目に支給される給与(5月の給与)から徴収されます。5月給与から徴収されるのは4月の勤務に対しての保険料で1ヶ月ズレます。

会社で働く前は親御さんが加入していた健康保険組合や国民年金保険の被扶養者として健康保険に加入していたと思いますが、働き始めるとあなたが被保険者として健康保険に加入します。

サラリーマンの場合は、各会社が加入している健康保険組合に加入することになります。

保険料は健康保険組合ごとに若干の違いはありますが、基本的にはだいたいどこの健康保険組合も同じです。

健康保険組合は標準報酬月額を元に保険料を決めています。

標準報酬月額は通常、4月から6月の間に支給された給与を平均して、その金額を健康保険組合が定める標準報酬月額表に当てはめて金額を決めています。ただし、新入社員の場合は入社時点では初任給を基準に標準報酬月額が決まります。

4月から6月の標準報酬月額により決まった保険料は9月から適用されます。9月分は10月に支給される給与から控除されるので、10月給与から保険料が上がったり下がったりします。

よって新入社員は入社した後、5月給与(4月分)から9月給与(8月分)までは初任給を元に算出された月額を元に保険料が決まり、10月給与からは4月から6月の給与を元に健康保険料が決まります。

ちなみに、標準報酬月額は1度決まると1年間は変わりませんが、年の途中で支給される固定給が大きく増えたり減ったりした場合には年の途中でも月額が見直されて、保険料が上がったり下がることもあります。これを月額変更(月変)と言います。

また、固定給には通勤手当も含まれます。よって、年の途中で会社から遠くに引っ越して通勤手当を多くもらうことになった場合でも月額が見直されて、保険料が上がっちゃうことがありますので注意を。保険料を抑えたい場合は、会社からはできるだけ遠くには住まないほうがいいですね。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は健康保険料と同じで最初の1ヶ月は徴収されません。2ヶ月目(5月)に支給される給与から徴収されます。5月給与から徴収されるのは4月の勤務に対しての保険料で1ヶ月ズレます。

よく「年金問題」と言われる「年金」がこれです。これを納めることで、そのお金の一部はおじいちゃんおばあちゃんに年金として渡ったり、一部は年金資金として年金の機関が運用して増やしたりしくじって減らしたりするのです。

年金保険料も健康保険と同じく標準報酬月額を元に決まります。

控除されるものの中で一番ガッツリ控除されるのが厚生年金保険料です。会社が控除して、各地域の年金事務所に納めています。この年金事務所がドイヒーなんですよ、これが…。ちゃんと仕事しろー、年金事務所!

なお、年金保険料は納めれば納めるほど将来自分がもらえる年金も増えます。年金保険料が多いということは稼ぎも多いということで、つまり稼ぎが多い人ほど将来年金がたくさんもらえて豊かに暮らせるということです。私には関係なさそうです。

厚生年金保険料にも月変はあります。

雇用保険料

雇用保険料は勤めた当月から控除されます。4月に控除されるのは4月に勤務した分に対してです。

雇用保険は28年度は給与支給額の0.4‰と決まっています。29年度は0.3‰に下がりました。

え?‰ってなに?と思われた方もいると思いますが、‰はパーミルと言います。パーセントは100分の1ですが、パーミルは1000分の1の事です。

大丈夫です。私も知ったのは最近です。社会に出て初めて知ることは多いです。

住民税

住民税は住んでいる(または住んでいた)自治体に納める地方税です。市民税・町民税・村民税・区民税(東京23区)都道府県税が含まれます。

新入社員の方は2年目の6月までは徴収されません。

住民税はなにに対して課せらるかというと、前年の収入(年収)に対して課せられます。新入社員の場合は前年は通常学生であって収入はないので、住民税を納める必要がありません。

学生でもめっちゃバイトしていてめっちゃ年収があった人は納める必要がありますが、就活していたらそんな時間ないですよね。

で、住民税の納税期間は6月から5月です。前年の年収を会社が各自治体に報告し、自治体が税額を計算し、その後自治体から会社に「6月から翌年5月までこの人からは○円控除して住民税収めて」と指示が来ます。

会社はその指示に従い、6月から翌年5月まで住民税を控除し、社員の代わりに市町村に納めます。

(会社が本人に代わって納める方法を特別徴収と言います。自営業など自分で納める場合は普通徴収と言います)

どこの自治体に納めるのかというと、当年の1月1日に住んでいた自治体です。

例えばあなたが当年1/1に引っ越して(まあ1/1に引っ越す人なんていませんが)新しい自治体に転入した場合、当年からその自治体に納めます。

あなたが当年1/2に引っ越して転入した場合、当年納めるのは引越し前の自治体です。来年の5月まで納めるので、引越ししてから1年以上たっても前に住んでいた自治体に納めることになります。

尚、税額は10%と決まっており、住んでいるところによって差はないはずなのですが一部例外はあるようです。横浜市とか名古屋市とか。

あ、あと「ふるさと納税すると住民税が安くなるぞ!」というのは本当です。控除のシステムは他にもありますので、探してみてください。

所得税

所得税は毎月の収入に対して決まります。会社に勤めている人は会社が代わりに徴収して納税しています。これを源泉徴収と言います。

ちなみに自営業者などは自分で1年間の収入を計算して、自分で税務署に届け出て、所得税を納税します。

毎年2,3月に行う確定申告がその作業で、前年度の収入を自分で申告し、納税額が決まります。

会社勤めの人は基本的に源泉徴収で給与から所得税が引かれ、会社が代わりに納めていますので、確定申告は不要です。

確定申告が必要な場合もありますが、だいたい不要です。

所得税額は国が決めている源泉所得税額表を見るとわかります。毎年度更新されます。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2016/01.htm

これを見るとわかる通り、あなたの給与額(社保等控除後)の範囲に応じて納税額が決まります。

サラリーマンは甲欄を見ます。結婚して家族がいる場合、扶養親族等の数の欄の1人、2人…というところを見ますが、独身の場合は扶養親族は0人になります。

例えばあなたの社保等控除後の給与が15万円で、独身であれば所得税は2,980円です。(平成29年の場合)

このような形で1月から12月まで毎月所得税額が決まり、会社が納税するのですが(あ、賞与にも所得税はかかりますよ)、毎月納める所得税額は○円以上○円未満というざっくりな金額から決めて納めていますので、年の最後にきっちりと実際の所得税額を出します。それが年末調整というものです。

きっちり計算された所得税額より、1月から12月の12か月間に納めてきた所得税額が多ければ多く納めた税金が戻ってきます(収めたお金が戻ることを還付といいます)。12か月間で納めてきた所得税額で足りなければ12月の給与から12月の所得税プラス年末調整で調整された額の所得税が引かれます。これで1年間の所得税が納まります。

この年末調整があるため、サラリーマンは確定申告が原則不要なのです。

年末調整の時には年収に対していろいろと控除が発生し、毎月計算していた給与金額よりも低い額で再計算されますので、だいたい還付があります。

10月、11月くらいになると会社から年末調整のお知らせがあると思います。会社からは「保険に入っている人は保険控除証明書を用意して」と言われたりします。だいたい保険会社から送ってきてもらえますが、面倒くさがって保険会社からの通知を見なかったり、会社に提出しなかったりすると、受けられる還付もなくなってしまいますので、年末調整はきちんとしましょう。

月収とは?年収とは?

ところでよく言う月収とは何を指すのでしょうか?答えは社会保険料や税金を引く前の給与の総支給額を言います。給与口座に入る手取り額の事ではありません。

年収もそうで、実際に給与口座に入った額ではないのでご注意を。

マスコミなどで「平均年収500万」とか書いてあったら税引き前の事だと思ってください。なんだかんだで年収の20%程度は天引きされます。

手取り額を見て「うわっ・・・私の年収、低すぎ・・・?」とか思わなくても大丈夫ですよ。

hikusugi

そして、12月以降になると会社から「源泉徴収票」というものが貰えます。ここの「支払金額」に書いてある額が年収になります。目指せ1000万円!

ということで、ほんとざっくり説明しましたが、いかがでしたでしょうか?

私ももっときっちり勉強して、この文書をブラッシュアップしたいと思います。

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