メンタルヘルス患者が増えている
最近、メンタルヘルスを患う人が増えています。特にバリバリ働く30代・40代といった主力世代に増えている印象です。日本では企業にストレスチェックを行うことが義務づけられました。このことから国としても働く人のメンタルヘルス改善には力を注いでいることがわかります。
私の会社でも現在お休みしている人、過去お休みしていた人を含めると社員全体の5%はメンタルヘルスを患った経験があると思います。また休まないまでもメンタル的に追い詰められている予備軍の人も確実に存在します。そう考えるとメンタルヘルスを患うことは決して他人ごとではありません。
また、メンタルヘルスを患う人は周りの環境に影響を受けて発症する人が多いと感じます。もちろん、患う方にもそうなる原因やきっかけがあるのかもしれませんが(一人で考え込んでしまうなど)、大部分は周りからのプレッシャーやハラスメントなどが原因です。ほかの病気もそうですが、メンタルヘルスだって自分からそうなりたい人はいません。
メンタルヘルス患者のための「自立支援制度」
期せずしてうつ病などのメンタルヘルスを患ってしまった場合、そこからの復帰は大変なものです。カウンセリングや投薬をはじめ、心療内科などの医療機関の受診は欠かせません。この受診料が意外とバカにならなかったりします。周りの環境のせいでなりたくない病気にかかってしまい、いつ治るかわからない病気を治すために自腹を切りつづける…経済的な損失も結構なものです。
そんな人のために厚生労働省は「自立支援制度」という制度を用意しています。自立支援制度の中でも「精神通院医療」に対する支援は平成18年から始まったまだ新しい制度です。概要は以下の通りです。
精神通院医療は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による急性中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む。)を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する病状にある者に対し、その通院医療に係る自立支援医療費の支給を行うものです。
詳しくは厚生労働省のサイトでご確認ください。 → 厚生労働省 自立支援医療(精神通院医療)の概要
どのような支援が受けられるか?
肝心の支援の内容ですが、ざっくりいうと「医療費負担が3割から1割」になります。月10,000円の医療費の出費がある人は3,333円になるわけです。お医者さんに支払う診療代と薬局で支払う薬代が対象です。
なお、あくまでも精神通院医療に関してのみ1割負担になります。風邪をひいたので風邪について受診をしたり、風邪薬を出してもらっても、それは1割ではなく、通常通り3割の負担になります。
また、申請する際に通院している医院と使っている薬局を申請書に記載する必要があります。1割適用されるのはその申請書に書いた医院と薬局で支払う医療費に対してのみですので注意してください。
支援を受けるためにはどうやって申請したらよいか?
支援を受けるには住んでいる自治体の保健所・保健センターでの申請が必要になります。
申請に必要な書類はお医者さんからの診断書と自身の年収を証明することができる課税証明書(役所で取得できます)です。念のために、保健所に確認しておくと確実でしょう。
まずは通っているクリニックのお医者さんに「自立支援制度を申請したいので診断書を書いてください」と相談をしましょう。診断書は5,000円ほどかかると思います。最初にちょっとだけ出費になります。
なお、診断書はその場でちょちょいと書けるレベルではなく、A3サイズの診断書にギッシリ書く必要があるため、その場ですぐにもらうことはできないと思ったほうがよいです。次の通院までに書いてもらうとよいでしょう。
さて、診断書はわかりますがなぜ課税証明書が必要かというと、納税している住民税の税額によって支援される上限額が決まっているためです。課税証明書には住民税の税額が記載されていますので、それで納税額を確認します。ただ、普通に働いているサラリーマン・OLさんでしたら月10,000円までの支援は受けられるはずです。
2つの書類が揃ったら保健所に申請に行きましょう。申請用紙は保健所にあります。また、健康保険証の記号・番号をかく欄もあるので、健康保険証も忘れずに持参しましょう。
保健所で申請書を書いて、診断書・課税証明書と一緒に提出します。証明書はその場ではもらえませんが、申請書の控えがもらえますので、次回以降通院するときはそれを病院の受付で保険証と一緒に出すと負担が1割になるはずです。
正式な証書は後日…と言っても結構先の忘れたころに郵便で届きます。2ヶ月くらいでしょうか。受診に行く際には忘れずに持参しましょう。
この証書の有効期間は1年間で、1年ごとに更新が必要です。期限が切れる2か月前から更新申請が出来ますので、また保健所で更新申請をします。ただ、診断書が必要になるのは2年に1度なので、2年目の更新の前になったらもう一度お医者さんに診断書作成を依頼しましょう。
支援制度を使って早期改善を目指そう!
繰り返しですが、メンタルヘルスを克服するにはカウンセリングと投薬は欠かせません。
心療内科などに通うと、自分がひどい精神障がい者のように感じてしまって通院を嫌がる人や、先生とあまり合わなさそうとか、自分の判断で少し良くなったとか、通院を止めてしまう人がいますが、メンタルヘルスを克服する近道はカウンセリングと投薬です。嫌かもしれませんがこれは避けられません。避けていると一向に良くなりません。お医者さんがOKと言うまで通院は続けましょう。
メンタルヘルスの患者さんにはこのような支援策があります。積極的に利用して早くメンタルヘルスを改善できるように前向きにいきましょう!