今回、台湾AsRock社製のベアボーンキット「Deskmini110」を購入してスモールPCを作成しましたので、その過程をまとめてみます。
ベアボーンキットとは?
AsRock Deskmini110はベアボーンキットと呼ばれるPCのパーツを合わせたキットです。
Deskmini110自体はケース・マザーボード・電源(ACアダプター)のみがセットになっています。
そこに自分で利用したいCPU、ストレージ(HDDやSSD)、メモリを別途購入して組み合わせ、PCとして完成させます。
公式サイトはこちら → AsRock Deskmini110
Deskmini110はその名前の通り、スモールPCの部類に含まれるPCになります。机の上においても邪魔にならないサイズです。
サイズは小さいですが、高性能のCPUや大容量のメモリを積めば、メインマシンにも劣らない利用も可能です。
ミニPCのベアボーンキットはいろいろな種類がありますが、価格・性能を勘案すると、Deskmini110はかなり優秀なキットです。Amazonのレビューでも高評価、価格comでも現時点でベアボーンの売れ行き1位になっています。
なお、2018年夏には後継のDeskMini 310が販売されています。
また、2019年にはAMD社製のCPU「Ryzen」を積めるDeskMini A300も販売が開始されています。
今回私は、仮想通貨ウォレットの専用PCとして利用することにしました。
ウォレットソフトはPoSマイニングをする場合、常時起動しっぱなしにする必要がありますが、場所は取りたくなかったですし、高出力の必要もないので、このミニPCで作ってみようと思いました。
当初はマイニングマシンにウォレットを同居させていましたが、マイニングマシンでウォレットを起動しっぱなしにすると、それだけリソースをとられることになり、マイニングに影響があるかなと思ったことがウォレット専用PCを作るきっかけでした。
尚、グラフィックボードを挿すことは出来ませんので、ゲーミングPCとしての用途には向いていません。(外付けGPUを使えば出来ないことはないかもしれませんが)
用意したパーツ
上述の通り、ベアボーンキットにはCPU、ストレージ、メモリが別途必要です。今回選んだのは以下の通りです。
<CPU> Intel Celeron Processor G3900
これはもともとマイニング用のPCにつけていたものを移設しました。マイニングPCにはCore i5 7600を別途購入して、取り付けています。
ウォレットでしか使わないのであれば、マシンパワーは不要なのでCeleronで十分です。Celeronも昔のものよりも格段に性能が上がっており、ネットサーフィンや簡単なビジネス文書を作ったりするレベルならば十分の性能ではないでしょうか。
Celeronは5,000円以下で購入できる安さも魅力です。
ケース内にはCPUクーラーも取り付けられます。特に冷却を求めるわけではないので、リテール(CPU付属)のクーラーを使っています。別売りのクーラーを買ってもいいですが、サイズには注意が必要です。筐体に収まるものを選びましょう。
CPUはCeleronではなくてもソケット1151タイプのものであればはまります。いわゆるCore iの第7世代・第6世代と言うやつです。ハイパワーのCore i7を使うのも良いでしょう。
しかしその場合は排熱やら省エネやらの対策を講じる必要があるかも?
なお、Deskmini110は第6世代しか対応していないという話がありますが、ファームウエアを最新にアップデートすることで第7世代も使えるようになります。
<SSD> WD Green WDS120G2G0A 128GB
メインストレージはSSDにしました。秋葉原のパソコン工房のセールで5,800円。
私は安さで選んでしまいましたが、大事なメインストレージですので、性能面で評判の高いメーカーのSSDを選ぶのも良いと思います。
<HDD> HGST HTS541010B7E610 1TB
サブストレージはHDDにしました。こちらはHGSTの1TBモデル。
SSD・HDDどちらも2.5インチ、7ミリ厚。もちろんですが、OSはSSDにインストールします。SSDとHDDであれば、操作感も起動時間も早く、耐久性も高いSSDをメインストレージにお勧めします。
ただし、SSDだけでは用量が確保できないため、HDDをサブストレージとして組み合わせてデータ領域にするのもおすすめです。
私はイメージバックアップやウォレットのバックアップを取る予定です。
ちなみに、Deskmini110はM.2規格のSSDストレージを追加することもできます。
ただ、M.2規格のSSDのうち、NVMe(PCI-Express)というインターフェイスにのみ対応しています。SATAインターフェイスのM.2SSDは接続することが出来ませんので、購入時には注意が必要です。
以下の製品であれば接続可能です。
尚、2.5インチのSSDであればSATAインターフェイスのもので大丈夫です。
M.2規格のメモリはマザーボード上のスロットに直挿しです。2.5インチのSSD・HDDの場合はマザーボードの裏にあたる、本体下部に取り付ける形になります。
取り付けるためのネジはDeskmini110にはついていないので、このミリネジを使いました。
また、2.5インチドライブHDDには厚さが7mmのものと9.5mmのものがあります。後者のモノでも積むことは出来ましたが、個体差などで本体に干渉する可能性がなくもないので、出来れば前者の7mm厚のドライブを買いましょう。
<メモリ> シリコンパワー DDR4-2133(PC4-17000) 4GB SP004GBSFU213N02
一時期の上昇が落ち着いたものの、まだ値段が高止まりしているメモリ。
とはいっても、買わなければPCは動きませんので、規格の中で一番安かったものを購入しました。
S.O.DIMMと呼ばれる、主にノートPCで使われる短めのメモリを使います。規格はDDR4のものが必要です。
メモリスロットは2枚ありますが、現状メモリが高いこと、ウォレット用のマシンであれば大してメモリ容量はいらないであろうことから、4GBのメモリがあればよいと思います。
ただ、コスパ重視の方は8GBのメモリを買ってもいいかもしれませんし、メインPCとして使いたい場合も8gb以上、できれば16GB欲しいところ。
<OS> Windows 10 Professional
OSはWindows10にしました。
私は手元に残っていたWindows 10 Professionalをインストールしましたが、家で使うものですし、Homeでも十分でしょう。
ひとつ注意が必要なのは、ソケット1151のCPUは比較的新しいため、Windows7や8.1といった古いOSをインストールしても使うことが出来ません。
ですので、WindowsOSを使う場合にはWindows10を用意するようにしてください。
また、Deskmini110には内臓のBlu-rayやDVDのドライブを設置することが出来ませんので、OSのインストールは外付けのBlu-ray・DVDドライブをUSB接続して行うか、OSのインストールメディアをUSBメモリに作成し、そのUSBメモリをDeskmini110に挿して行う必要があります。
私はUSBメモリにインストールメディアを作った上で、Deskmini110に挿してインストールを行いました。
尚、こちらの記事でインストール方法についてはざっくり解説しています。
Windows10が既にインストールされている環境にもう一度インストールをし直す「クリーンインストール」をする方法のざっくり解説
5万円で組み上げが可能!!
ということで、上記で紹介した私が購入したパーツ(ベアボーン・CPU・SSD・HDD・メモリ・OS)を新規で購入した場合、およそ5万円でAsRock Deskmini110ベースのPCを作成することが可能になります。
サブマシンとしては非常にコスパに優れたマシンが出来上がります。
さらに高性能なCPU、SSD、メモリを購入してPCを組んだとしても、おそらく10万円もかければメインマシンとして使えるPCが出来上がると思います。
組み立てのヒント
写真が少なく恐縮ですが、組み立てについてこのようにしたらいいのではないかというヒントをまとめておきます。
最初にストレージを取り付ける
まずはキットを取り出したら、本体後ろのネジを4ヶ所外して内部を引き出します。
すると、マザーボード部分が見えてきますが、まずはそのマザーボードをトレー部分から外します。外すにはマザーボードの四隅にあるネジを外せばOKです。
ネジを外してマザーボード部分とトレー部分を分離させ、分離したトレー部分の裏側に、SSDとHDDのストレージをミリネジで留めます。
ストレージには最初にマザーボードと連結するためのケーブルをはめておきましょう。そのうえでそれぞれをトレーの裏側に配置し、ミリネジで固定します。
なお、この写真の場合、SSDを付けている側はミリネジ4つを使って固定していますが、HDD側はミリネジ2つで固定しています。この写真での上側、SSDに近い方にはツメのようにストレージを引っ掛ける部分があるのでネジは必要ありません。片側2箇所を引っ掛けた上で逆側の2箇所をネジで留めています。ちょっと文書では分かりづらいですかね、すみません。
トレーの裏側にストレージを固定したあとで、ケーブルをトレーの横(上の写真だと右側)にある穴の部分に通して、外してある状態のマザーボード裏にあるケーブルを挿すコネクタ(メス)に挿します。
挿すと言ってもコネクタ部分の位置を合わせて、上から押し込むようなイメージです。逆に外す時ケーブル部分についているつまむところを持って上に引っ張ります。
2つのケーブルがマザーボードに挿さったら、マザーボードをトレーに取りつけ直し、ネジで固定します。
次にメモリを取り付ける
マザーボードをトレーに取り付けたら、次にメモリを取り付けましょう。先にCPUを付けてしまうと、CPUクーラーが邪魔でメモリを刺すのが大変です。
メモリは挿す側に凹みがあるので、その凹みをメモリを取り付ける溝にある凸みに合わせて均等な力を上からかけて差し込みます。
均等に力をかけないとメモリ本体がパキーンと割れる可能性がありますので慎重に。
最後にCPUを取り付ける
CPUの取り付けは、こちらも凹みを参考に向きを合わせて、上からそっと置きます。ピンを折らないように!
その後、上から固定し、さらにCPUクーラーを設置します。
CPUクーラーから出ているケーブルをマザーボード側に挿す必要がありますが、挿すところはマザーボードのいわゆる「前側」にあたるところにありますので、挿すところとケーブルが届くことを確認した上でCPUクーラーを固定してください。
組み上げてからの感想
ということで、くみ上げてから3ヶ月程度経ちましたが、今のところ連続利用していてもまったく問題ありません。
また、どれくらいの性能なのか客観的に示すためにベンチマークソフトPCMARK 10を使ってしらべてみたところ、第6世代のintel Core-i3を積んでいるオフィス向けPCよりも良いという結果が出ました。
んー、まあおそらくそんな感じで間違いないと思います。オフィスレベルの作業でも十分にできるPCでしょう。
唯一不満だったのが、デフォルト設定ではCPUファンの音がうるさいということ。しかし、これはBIOSで設定変更出来ます。
サイレントモードにすることでかなり静かになりました。
ということで、ミニPCを作りたいと思っている方の参考になれば幸いです!