社会保険

社会保険料がお得になる?育児休業から復帰したら「育児休業等終了時報酬月額変更届」の提出を忘れずに!

育休から復帰された皆様おめでとうございます!

お子様の保育園も決まり、職場に復帰できたことはうれしいことだと思いますが、そんな育休からの復職者の方が少し得をする制度を紹介いたします。

なお、この記事では「社会保険料」という言葉を使いますが、この記事においては健康保険料・厚生年金保険料に限ります。

「育児休業等終了時報酬月額変更届」を出すと社会保険料が安くなる!?

育休から復帰しても、お子さんを保育園に預けたり、迎えに行ったりする必要があり、働く時間が短くなってしまう人がほとんどだと思います。

働く時間が短くなれば残念ながら給与も減るでしょう。しかし給与が減った分、きちんと支出は抑えたいですよね。

その際に会社から健康保険組合および年金事務所に「育児休業等終了時報酬月額変更届」(以下、変更届)を提出することで、 社会保険料である健康保険料と厚生年金保険料を下げることが出来ます。

日本年金機構のホームページで詳細が紹介されています。

社会保険料決定の仕組み

まずは社会保険料決定の仕組みを少し説明。

社会保険料がどのように決まっているかというと、4月から6月に支給される給与の平均値を元に「標準報酬月額」というだいたいの平均給与が決まります。

その標準報酬月額を算定表に当てはめることでその人の社会保険料が決まり、その年の9月から来年の8月までの社会保険料が決まります。稼ぎが多い人ほど社会保険料もたくさん支払います。

こちらのリンクは厚生年金保険料の算定表です。最新のものをご覧ください。

 

しかし、産休・育休前はバリバリ働いていた人が、復職後も産休前と同じペースでバリバリ働けることは稀です。

 

復職後に時短勤務などで給与が下がったのにバリバリ働いていた時に払っていたのと同じ社会保険料を支払い続けるのは大変です。

そのような状況を救済するためにこの「変更届」があります。

「変更届」を出すとどうなる?

復職すると、まずは復職月を含めた3ヶ月の標準報酬月額を算出します。ただし復職月が月末などで勤務日数が少ない場合にはその月は含まれません。

具体的には「月の支払基礎日数が17日以上」である必要があり、復帰後3ヶ月のうち、支払基礎日数が17日未満の場合はその月は含まれません。

月給制度が用いられている場合、支給基礎日数はカレンダーの日数と同じです。1月は31日ですし、2月は28日です。

 

復職をして時短勤務が始まると給料は通常下がりますので、標準報酬月額も下がるはずです。

で、復帰前と復帰後の標準月額の等級に1つでも差が発生する場合に変更届を出すと、復職してから4か月目の給与から引かれる社会保険料が復職後の下の等級にあわせて変わります(減ります)

 

例えば、1月に復帰した方の場合、1月から3月の給与による標準報酬月額を算定し、復帰前の標準報酬月額と比較し、1等級でも下がっていれば変更届を提出し、4月の給与から社会保険料も下げることが出来ます。

この変更届を出さないと、せっかく社会保険料を下げるチャンスがあるのにそれをみすみす逃してしまうことになります。

 

ちなみに、社会保険料は会社側も働いているあなたと同額の金額を納めています。

よって、あなたの納める社会保険料が下がるということは会社の社会保険料も下がり、労使ともにWin-Winになります。

「変更届」を出さないとどうなる?

ちなみに、この変更届は任意の書類です。必ず出さないといけない書類ではありません。

ですからもしかすると、この書類の存在を知らずに出していない方もいるのでは?

会社の担当部署や担当者がしっかりしていれば、会社の方からそういう話をしてくれるはずですが、そういう話が無かったり、話があっても難しいからいいやとか、任意だからいいやとか思っている 復職者の方もいるかもしれません。

でもそれはあなたにとっても会社にとっても不利なことですので、きちんと変更届は出しましょう。

この書類には自分が署名をする箇所がありますので、「そんな書類あったっけ?署名したっけ?」と署名した記憶がない方は会社の担当部署に問い合わせてみましょう。

「変更届」を出すと損をする場合もある!

かといって、変更届を出すと損する場合もあるので注意が必要です。

 

例えば、復帰前よりも復帰後の給与が上がっていた場合、変更届を出すと逆に社会保険料が上がってしまいます。

「復帰後に給与が上がる場合なんてある?」と思われるかもしれませんが、たとえば今回の復職が2人目のお子さんの場合。復帰前も時短、復帰後も時短であれば給与は本来変わらないはずです。

しかし、その間に会社のベースアップや自身の昇格などで給与が上がっていることもあります。そのような場合はわざわざ変更届を出して自分から社会保険料を多く収める必要はないでしょう。

変更届を会社に提出する際に「標準報酬月額がもしも上がっていたら、変更届の提出はしないでください」と伝えておけばOKです。

 

逆の見方をすれば、第1子の育休から復帰して育児時短勤務をしている方は恩恵を受ける方が多いと思われます。

効力は8月まで!9月には一斉に改定される

なお、会社で働く人は毎年9月に社会保険料の更新があります。これを定時決定といいます。

これは誰であっても、男性も女性も、働いている方は避けられません。

ですので、給与が上がっていた場合、9月からの社会保険料は上がります。また、給与が下がっていた場合、9月からの社会保険料は下がります。「変更届」を出していなくても下がります。

 

会社の締め日にもよりますが、 9月分の社会保険料が反映されるのは通常10月の給与からです。

よって、この変更届の効力があるのは、変更が適用された月から次の8月(9月給与分)までとなります。

 

いかがでしたでしょうか?ちょっとわかりにくい点もありますし、会社の給与の支払い方によって注意点があるかもしれませんので、詳しくは会社の社会保険担当の方に聞いてみて下さい。

とりあえずは「育児休業等終了時報酬月額変更届」という、育休復帰者に優しい制度があるんだよ、というお話でした。

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